Q.

ChatGPTの出力をそのまま社外に提供しても法的に問題ありませんか?

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ChatGPTその他法令
A.

この問いには、大きく分けて次の2つの問題が含まれます。

① そもそも、ChatGPTの出力物を使用することが特定の法令に違反するか
②(使えるとして)ChatGPTの出力を使用した場合の法的責任が誰に帰属するか

そもそも、ChatGPTの出力物を社外向けに使ってよいのか(法令違反の有無)

通常の用途であれば、社外向けに使用しても直ちに違法とはいえない

OpenAIの利用規約では、ChatGPTの出力物(文章・画像等)について、著作権等の権利がユーザーに帰属する旨が定められています。
そのため、第三者の権利侵害を行うようなプロンプトを用いていない場合(例:挨拶メールの返信文案を考案してもらう等)には、出力の利用は基本的にユーザーに委ねられており、社外向けに使ったことそれ自体で直ちに法的問題が生じるとは通常考えにくいです。

例外的に注意:専門職(有資格業務)で「判断をAIに委ねる使い方」は問題になり得る

他方で、弁護士・医師・会計士など、国家資格を前提とする専門職は、有資格者が判断し業務を遂行することを前提に、その業務を有資格者に独占させています。
そのため、有資格者であっても、ChatGPTの出力を自己の判断(Human in the Loop)を介在させずにそのまま用いることは、法の趣旨に反し、各種資格法に違反する可能性があると整理するのが適切です。

利用規約上も「重要な決定」に関する禁止・制限がある

さらに、OpenAIの利用規約では、

信用、教育、雇用、住宅、保険、法律、医療、その他の重要な決定など、個人に法的又は重大な影響を与える可能性のある目的において、その個人に関連するアウトプットを使用してはなりません

といった趣旨の使用禁止条項が置かれています。

この点は今後議論が熟していく領域ですが、少なくとも、こうした用途や有資格者特有の業務では、生成AIに判断を委ねる使用方法は認められていないと整理する方が適切です。
もっとも、これらの分野でも、生成AIを業務の補助(道具)として用いること自体は否定されていません。重要なのは、人の判断が介在していることを担保すること考えられます。

出力物を使って問題が起きた場合、責任は誰が負うのか

OpenAIの利用規約では、例えば次のような趣旨が示されています。

  • 人が作り出したものではない場合に、アウトプットを人が作り出したものと表示すること
  • インプットとアウトプット(総称して「本コンテンツ」)が適用法令や利用規約に違反していないことの確認を含め、ユーザーが責任を負う

このため、前提として、ユーザーは出力を自由に使用できますが、その使用に伴う責任はユーザーに帰属することが基本とされています。

どの場面でも「人による内容確認(HITL)」が必要

以上を踏まえると、結局のところ、

  • 社外提供の可否(①)にも
  • 問題発生時の責任(②)にも

共通して、ユーザーによるコンテンツ内容の確認(HITL)と使用判断が必要だという結論になります。

補足:「逐次確認」ではなく「システム設計・運用」に責任の焦点が移る可能性

なお、一部の議論(AI利活用における民事責任委員会の検討など)では、生成AIに限らずAI一般について、次のような示唆があります。

  • 人の確認を介在させると、その負担からAIを利用できなくなる場面がある
  • その場合、AIの精度が人の能力を上回るほど高精度になっていれば、責任の焦点が
    「出力確認をしなかったこと」ではなく、
    「AIが望ましい作動をするためのシステム設計・運用がなされたか」
    に移行し得る

この考え方は、取締役会設置会社等における内部統制システムの議論と親和的です。つまり、企業において取締役が従業員を逐次監視することが現実的ではない場面でも、内部監査が正常に行われる仕組みを構築し、運用を監視している場合には、個々の行動を逐次監視していなかったとしても責任を問わない、という発想と似ています。

まとめ

  • ChatGPT出力を社外に提供することは、原則として直ちに違法ではない
  • ただし、専門職領域や重要な決定では、AIに判断を委ねる使い方は問題になり得る
  • 利用規約上も、出力の利用は可能だが、内容確認を含めた責任はユーザー側にある
  • したがって、社外提供に限らず、どの場面でも基本は 「人による確認(HITL)と判断」
  • 将来的には、活用が進んだ場面で、逐次確認を代替する形として、生成AI利活用を中心とした内部統制の設計・運用監視が重要になる可能性がある

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