Q.
クライアントがAI動画を「自社制作」と偽って公開している。問題にできる?
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生成AI一般著作権法知的財産権(一般)
A.
結論:3つのチェックを順に確認することで、法的主張ができるかどうかが分かります
① まず「著作物」として認められるか
AI動画が著作権法上の著作物として保護されるためには、クリエイターの「思想または感情を創作的に表現した」もの(著作権法2条1項1号)である必要があります。
単純なプロンプトの入力にとどまる場合は著作物と認められない可能性がありますが、企画・構成・演出・編集などにクリエイターの創意工夫が反映されている場合は著作物として保護される余地があります。まずこの点の見極めが出発点です。
② 著作者人格権が自分に帰属しているか
著作者には、財産的権利である著作権のほかに、人格的利益を保護する「著作者人格権」が認められます(著作権法18条〜20条)。著作者人格権には以下の3つが含まれます。
公表権(未公表の著作物を公表するかどうかを決める権利)、氏名表示権(著作物に自分の名前を表示するかどうかを決める権利)、同一性保持権(著作物を意に反して改変されない権利)。
「自社制作と偽って公開された」というケースでは、このうち氏名表示権の侵害が問題になります。
ただし、著作者人格権が自分に帰属するのは、職務著作(著作権法15条)が成立していない場合に限られます。フリーランスとして受注した業務委託であれば職務著作は成立しないため、著作者人格権はクリエイター自身に帰属します。
③ 契約書に著作者人格権の不行使条項がないか
実務上、多くの業務委託契約には「著作者人格権を行使しない」旨の不行使条項が盛り込まれています。この条項がある場合、氏名表示権を根拠とした主張が困難になります。
契約書を確認し、不行使条項の有無と範囲を確かめることが必要です。
なお、不行使条項があったとしても、著作者の名誉・声望を害するような利用については、著作権法上別途問題となり得ます(同法113条11項)。不行使条項が「何でも許される」というわけではありません。