クライアントから「AI動画で作って」と依頼されたけど、納品物の著作権はどうなるの?
結論:著作権はクリエイターに帰属しますが、「譲渡できない」リスクに注意が必要です
① 創作性があればクリエイターに著作権が帰属する
AI動画の制作には、企画・プロンプト設計・編集・演出など、複数の工程が関わります。これらの工程においてクリエイターの個性の発露といえる創作性が認められる場合、AIの出力であっても著作物として扱われ(著作権法2条1項1号)、その著作権はクリエイターに帰属します。
一方、単純なプロンプト入力にとどまり、クリエイターの創意工夫が見られない場合は著作権が発生しない可能性があります。文化庁も、AI生成物への著作権保護については「人間の創作的寄与」の有無によって判断されるとの見解を示しています。
② 業務委託のフリーランスには職務著作は成立しない
著作権法15条は「職務著作」として、法人の業務に従事する従業員が職務上作成した著作物の著作権は法人に帰属すると定めています。しかし同条は「その法人等の業務に従事する者」であることを要件としているため、外部の個人事業主(フリーランス)として受注したクリエイターには職務著作は成立せず、著作権はクリエイター自身に帰属します。
③ 契約書には著作権・著作者人格権の取扱いを明記する
上記のとおり、業務委託では著作権がクリエイター側に帰属するため、発注企業としては契約書で著作権の譲渡またはライセンスを取り決めておく必要があります。
また、著作者人格権(同一性保持権・氏名表示権など)は著作権法59条により譲渡できないとされているため、「著作者人格権を行使しない」旨の不行使特約を契約書に盛り込むことが実務上一般的です。
なお、フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)においては、著作権の譲渡を求める場合はその対価も含めて契約時に明示することが求められており、業務報酬とは別に意識しておく必要があります。
④ クリエイター側は「著作権不発生の免責条項」を検討する
AI生成物については著作権が発生しない場合があるため、クリエイター側の保護として、契約書に「生成AIを使用した成果物については著作権の発生を保証しない」旨の免責条項を入れておくことを推奨します。これにより、後から「著作権がなかった」ことを理由にクレームを受けるリスクを軽減できます。