Q.

生成AIで出力した画像などは著作権法上利用できますか?(法人事業)

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著作権法その他法令生成AI一般
A.

著作権侵害とは何か

侵害の要件:依拠性と類似性

著作権の侵害とは、既存の著作物に対して「依拠性」と「類似性」の双方が認められる形で、著作権者に認められた権利を侵害する方法での利用行為を指します。具体的な例としては、友人が描いた絵をコピーして販売する行為がこれに該当します。

なぜ「依拠性」が必要か

著作権は、特許権などと異なり登録制度が存在しません。そのため、権利侵害に当たるかどうかの判断は行為者ごとに異なる「相対的な判断」になることがあります。だからこそ、侵害者が実際に当該著作物に接して(依拠して)いたことが要件とされています。もし依拠性が不要とされると、偶然まったく同じ表現を独自に生み出した者まで侵害者とみなされてしまう不合理が生じるためです。

なぜ「類似性」が必要か

著作権法は、個々人の「個性の発露」ともいえる創作的行為によって生まれた具体的な表現を保護しています。裁判上は「既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができること」と表現されます。したがって、単なるアイデアの流用や、ありふれた表現の利用は著作権法上の侵害には当たりません。創作者がその表現において発露した「個性」が利用されているかどうか、という点が核心です。

生成AIと著作権をめぐる問題

何が新しい問題なのか

生成AIが作成した画像・動画等については、「一体何に基づいて生成されたのか不明」という点が大きな問題です。従来は、人間が著作物に接する機会があったかどうかによって依拠性を判断できました。しかし生成AIの登場により、利用者(人間)には接触機会がなかったものの、生成AIは学習データを通じて当該著作物に接していたという状況が生まれています。この点が現在の議論の核心です。

文化審議会の考え方(令和6年3月)

文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)は、以下のように整理しています。

【利用者が著作物の表現を認識していた場合】

生成AIを利用した場合であっても、AI利用者が既存の著作物(その表現内容)を認識しており、生成AIを利用して当該著作物の創作的表現を有するものを生成させた場合は、依拠性が認められ、AI利用者による著作権侵害が成立すると考えられる。

【依拠性の推認について】

既存の判例・裁判例においては、被疑侵害者の既存著作物へのアクセス可能性、すなわち既存の著作物に接する機会があったことや、類似性の程度の高さ等の間接事実により、被疑侵害者が既存の著作物の表現内容を認識していたことが推認されてきた。このような判例・裁判例を踏まえると、生成AIが利用された場合であっても、権利者としては、アクセス可能性や高度な類似性を立証することで依拠性があるとの推認を得ることができると考えられる。

【利用者は認識していなかったが、学習データを通じてAIが認識していた場合】

AI利用者が既存の著作物(その表現内容)を認識していなかったが、当該生成AIの開発・学習段階で当該著作物を学習していた場合については、客観的に当該著作物へのアクセスがあったと認められることから、当該生成AIを利用し、当該著作物に類似した生成物が生成された場合は、通常、依拠性があったと推認され、AI利用者による著作権侵害になりうると考えられる。

以上から、現在の議論では、生成AIが学習データを通じて著作物にアクセスした場合においても依拠性を認める方向で議論が進んでいると考えられます。

また、多くの生成AIサービスは「現状有姿」での提供を基本とし、出力内容の確認義務を利用者に課しています。学習データを通じて類似画像等が生成された場合、「そのような著作物があることは知らなかった」という反証は困難になるケースも少なくないと見込まれます。

著作権侵害が成立した場合の法的救済

著作権法上の侵害があった場合、権利者には以下の救済手段が認められています。

① 差止請求(著作権法112条) ② 損害賠償請求(民法709条・著作権法114条) ③ 著作権侵害罪(著作権法119条)

ただし、侵害者の故意や過失を問わずに請求できる形態は①のみとなっており、例えば損害賠償請求時には少なくとも故意や過失が必要であり、刑事罰に問われる場合は、原則として、故意が必要であり、著作権法は過失犯を処罰する規定を置いていません。

事業で画像生成AIを使いたい場合のTips

特定の作品名をプロンプトに入力しない

特定の作品名・キャラクター名・クリエイター名などをプロンプトに入力すると、生成AIモデルが当該データへの重み付けを強めてしまい、積極的に当該著作物を参照するリスクが高まります。類似作品が出力された場合に依拠性が推認されやすくなるため、特定作品への言及はできる限り避けることが重要です。

商用利用前に逆画像検索を実施する

現在の生成AIの学習データには、ウェブ上の膨大なデータが含まれていると指摘されています。商用利用前にGoogle逆画像検索などを活用し、類似画像がウェブ上に公開されていないか確認することで、既存著作物との類似性リスクを早期に把握できます。
Google 逆画像検索

既にライセンスを取得しているリソースを活用する

著作権者とライセンス契約を締結済みのデータセットや素材を用いて生成AIモデルの動作範囲を限定する方法です。ライセンスの範囲内で利用することで、著作権侵害リスクを抑えつつ生成AIを活用できます。

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