クライアントからAIで作った素材を渡され「これを使って」と依頼された。権利侵害が起きたらどうなる?
クライアントから受け取った素材をもとに制作した成果物が既存の著作物と類似している場合、制作会社・クライアントの双方が責任を問われる可能性があります。事前の契約での手当てに加えて、クライアントがなぜその素材を使いたいのかを見極めることが、最も重要なポイントです。
権利侵害が生じた場合
クライアントから受け取った素材をもとに制作した成果物が、既存の著作物と類似している場合には、制作会社・クライアントの双方が著作権侵害の責任(差止めや損害賠償)を問われる可能性があります。
侵害にならない参照の仕方
反対に、既存の著作物のアイデアやありふれた表現を参照するにとどまる場合は、著作権侵害にはなりません。また、素材をAIに入力して作品のカテゴリやジャンル(「ポップ風」など)を分析・抽出するにとどまり、元の作品の表現そのものを出力させることを目的としない限り、その入力行為は著作権法30条の4により、権利侵害とはなりません。
事前に防ぐための契約上の手当て
事前の防止策としては、制作の委託契約において、クライアントから提供された素材が権利侵害となる場合の免責や、それにより自社に損害が生じた場合の補償を定めておくことが考えられます。クライアントが素材の使用を求め、説得が難しい場合にも、こうした条項を置いた上で対応することが重要です。
最も重要なのはクライアントの意図の見極め
その上で、最も重要なポイントは、クライアントがなぜその素材を使いたいのかを見極めることです。その作品を模倣したいのか、参考にしたいだけなのかが、重要な判断ポイントとなります。
渡された素材を生成AIに入力する行為の評価はこちらのQ&Aで、業務委託契約に入れておきたい条項はこちらのQ&Aで解説しています。免責・補償条項を含む契約書の整備は、tAiL.法律事務所(サービス一覧)までご相談ください。
関連Q&A:クライアントから「著作権侵害がないこと」の保証を求められた。どう対応すべき?/AIの生成画像が偶然、既存のキャラクターや作品に似てしまった。著作権侵害になる?
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。/出典:著作権法(e-Gov法令検索)、文化庁「AIと著作権に関する考え方について」/執筆:弁護士 原智輝(福岡県弁護士会)/tAiL.法律事務所代表