AIを使った制作物について、クライアントから「著作権侵害がないこと」の保証を求められた。どう対応すべき?
知的財産権の非侵害保証は、責任の範囲や影響が大きいため、可能であれば契約交渉の段階で避けたい条項です。避けられない場合も、保証の範囲を限定したり、制作の進め方を工夫したりすることで、負うリスクを小さくする方法があります。
参考になる特許分野の実務
特許の分野では、保証の範囲を「知る限りにおいて」と限定する例が実務上見られます。特許は特許公報を通じて公開されているため、特定の時点での侵害の有無を理論上は調査することが可能ですが、この限定は、そうした調査義務から保証する側を解放することを目的としたものです。
生成AIの分野に応用した交渉の方法
これを生成AIの分野に応用すると、「出力について合理的な調査(類似画像検索など)は行うが、調査を行ってもなお知り得なかった侵害については責任を負わない」という形で交渉することが考えられます。また、保証自体を避けられない場合でも、損害賠償の上限額(例えば委託料相当額)を定めるなど、責任の範囲を限定する交渉の余地があります。
制作の進め方でリスクを下げる
さらに、リスクベースアプローチ(権利侵害が起きる可能性と、起きた場合の影響の大きさに応じて対策の程度を使い分ける考え方)の観点からは、保証条項はリスクの深刻度を高める要因となります。そのため、保証を求められる案件では、委託者(クライアント)から提供された素材や、自社で権利処理済みの素材のみを用いて制作するといった運用で対応する方法も考えられます。
AI制作の業務委託契約に入れておきたい条項はこちらのQ&Aで、納品物の著作権の帰属はこちらのQ&Aで解説しています。保証条項の交渉や契約書のレビューは、tAiL.法律事務所(サービス一覧)までご相談ください。
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※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。/出典:著作権法(e-Gov法令検索)/執筆:弁護士 原智輝(福岡県弁護士会)/tAiL.法律事務所代表